経理職のメリット・デメリットとは? ②デメリット編【未経験者必見】

経理

 経理職は、会社の財務状況を把握し、ビジネスをサポートする重要なポジションです。安定した需要がある一方で、他の職種とは異なる特性もあります。今回は、未経験者向けに経理職のメリット・デメリットを詳しく解説します。このページでは経理職のデメリットに関して記述いたします。

経理職のメリットに関しては下記の記事をご覧ください。

だいせん

とあるジャンルで業界最大手の建設業経理部に勤めています。
経理の仕事の魅力や、会計にまつわる資格について情報発信しています。
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★保有資格
・日商簿記検定1級
・建設業経理士1級
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デメリット1:繁忙期の忙しさ

月末・月初の締め処理

 経理業務の中で、月末・月初に行われる「月次締め」は非常に重要で、忙しさがピークに達する時期です。毎月、企業の財務状況を報告するために、以下の業務が集中します。

月次決算書の作成

 企業の月次の収益や費用、損益をまとめた決算書を作成する必要があります。締め切りが厳格に設定されており、他の部署との調整も必要となるため、スピーディかつ正確な対応が求められます。

経費精算の確認・処理

 社員が提出した経費を月末に精算する作業も集中します。膨大な量の経費申請を一気に処理しなければならないため、業務量が一時的に増加します。

請求書の発行・支払い処理

 月末にかけて、取引先に対して請求書を発行したり、受け取った請求書に基づいて支払いを行う必要があります。このタイミングで支払い遅延がないよう、慎重かつ効率的な作業が必要です。

四半期決算・年次決算

 経理職では、四半期ごと(3か月ごと)や年次ごとの決算期には、特に業務が集中し、通常の業務に加えて多くの追加作業が発生します。

決算書類の作成

 四半期や年次決算では、通常の月次決算に加え、さらに詳細で多岐にわたる決算書類を作成する必要があります。特に年次決算では、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など、多くの財務資料をまとめるために、膨大なデータを確認・整理する必要があります。

監査対応

 特に上場企業の場合、決算時には外部監査法人による監査が行われます。この際、経理部は監査法人からの質問や資料請求に対応する必要があり、時間と労力がかかります。監査の準備も事前に行うため、この時期は特に忙しくなります。

税務申告

 年次決算と同時に、法人税などの税務申告が必要です。税務に関する書類作成や税務署への提出も加わるため、業務量がさらに増加します。税法の細かいルールに従って、ミスのないよう正確に処理する必要があるため、プレッシャーも大きくなります。

繁忙期の残業や休日出勤の可能性

 繁忙期には、残業や休日出勤が避けられないことが多くあります。

長時間労働

 月末や決算期には、通常業務に加えて締め切りを守るために多くの作業が重なり、定時に帰ることが難しい場合がよくあります。特に年次決算や四半期決算の時期には、深夜までの作業が続くことも珍しくありません。

休日出勤

 決算業務が特に立て込んでいる場合、業務の遅れを取り戻すために休日出勤が求められることもあります。忙しい時期に自分のペースで仕事を進めるのが難しく、仕事とプライベートのバランスが崩れることも考えられます。

社内外との調整業務が増える

 繁忙期には、他部署や取引先とのやりとりも増えます。以下のような業務で調整が必要になるため、通常以上のコミュニケーションが発生します。

他部署との連携

 決算資料や経費精算など、他部署からの情報提供が必要な業務では、スムーズに情報が集まらないと経理部門の作業が遅れます。情報が足りなければ追加確認が必要になるため、繁忙期のストレスが増加します。

取引先との調整

 請求書や支払いに関して、取引先とのやり取りが増えるのも繁忙期の特徴です。期限内に処理を完了させるため、取引先との連絡を円滑に行う必要がありますが、相手側の遅延やミスもこちらに影響を与えることがあります。

正確さとスピードが同時に求められるプレッシャー

 繁忙期には、業務量が増える一方で、締め切りを守るために短期間で多くの作業をこなさなければなりません。しかし、経理業務は数字を扱うため、一つのミスが企業の信用に影響を与えることもあるため、正確さが非常に重要です。大量のデータを処理しつつ、ミスを避けるために細心の注意を払う必要があるため、繁忙期には強いプレッシャーがかかります。特に年次決算や税務申告では、法的に間違いの許されない状況での作業が続きます。

だいせん
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経理職は、普段は比較的落ち着いて業務を進められることが多いですが、月末・決算期などの繁忙期には業務が集中し、忙しさが一気に増します。残業や休日出勤が発生しやすく、正確さとスピードが同時に求められるため、プレッシャーのかかる時期です。このような繁忙期に備えるため、通常の業務でも計画的に進めることが重要です。

デメリット2:ルーティンワークが多い

 経理職のデメリットとして「ルーティンワークが多い」ことが挙げられます。具体的にどのようなルーティン作業があるのか、またそれに伴う問題点について説明します。

日々の仕訳入力

 経理の基本的な業務として、毎日の取引を記帳する「仕訳入力」があります。企業の売上や支出、振替取引などを会計ソフトに入力していく作業です。これは、ほとんどの経理担当者が日々繰り返す作業であり、以下のような特徴があります。

毎日発生する業務

 仕訳は毎日の業務として必ず発生します。大きな変化がなく、同じ種類のデータ入力を繰り返すことが多いです。

正確さが必要

 単純なデータ入力に見えるものの、ミスがあると後々の決算に影響が出るため、非常に正確な作業が求められます。これにより、集中力が必要な一方で単調な作業に感じられることも多いです。

経費精算の処理

 経理担当者は、社員が提出する経費精算の処理も担当します。これは、社員が出張や業務に関連して使用した経費を確認し、会社の支出として適切かどうかを判断して精算する作業です。

毎月同じ流れ

 各月に行われる経費精算は、フォーマットや手順が決まっており、毎月同じ流れで進行します。このため、業務がマンネリ化しやすいです。

膨大な量の処理

 社員の人数が多い場合、経費精算の量が膨大になり、同じような作業を大量にこなす必要があります。これがモチベーションの低下や作業の単調さにつながることがあります。

請求書・領収書の処理

 取引先から送られてくる請求書や領収書を整理し、支払い手続きを進めるのも経理職の重要な業務です。この業務も、決められたプロセスに従って処理するため、ルーティンワークの一部になります。

決まったサイクルで繰り返される

 請求書は毎月または定期的に送られてくるため、その都度同じ手順で確認し、承認を得て支払う作業を行います。作業の流れに変化が少なく、やりがいを感じにくい面があります。

紙やデジタル文書の整理

 請求書や領収書をファイリングしたり、電子データを適切に管理する業務は単調でありながらも、手間がかかることが多く、やりがいを見出すのが難しい部分です。

月次決算

 経理職の毎月のルーティンとして「月次決算」も重要な業務です。企業の財務状況を月ごとにまとめ、報告するための決算作業で、以下の手順が繰り返されます。

毎月の財務データを確認・集計

 月次決算では、各月の収支を集計し、経営陣に報告するための資料を作成します。このプロセスは毎月同じ手順で進めるため、業務の流れに新鮮さが少なくなります。

締め切りが決まっている

 月末にかけて必ず行わなければならず、スケジュールが固定されているため、自由度が少なくなるという点でストレスを感じることもあります。

定型業務に対するやりがいの欠如

 ルーティンワークが多いことの最大のデメリットは、やりがいを感じにくくなる点です。日々の業務が定型化されていると、新しいチャレンジやスキルアップの機会が少なく、モチベーションの低下につながることがあります。

創造的な作業が少ない

 クリエイティブな解決策を考えたり、新しいプロジェクトに挑戦する機会が少ないため、刺激を感じることが難しく、職業満足度に影響を及ぼすことがあります。

マンネリ化による成長の停滞

 同じ業務を長期間続けることで、自己成長の実感が薄くなり、キャリアアップのための学びやスキル習得が停滞する可能性があります。

自動化・デジタル化の進展でさらにルーティン化

 経理業務は現在、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などのテクノロジーによって自動化が進んでいます。これにより、単純な入力作業やデータ処理は効率化されつつありますが、逆に残る業務はさらにルーティン化される可能性があります。デジタルツールが多くの経理業務を自動化する一方で、経理担当者が担当する部分は、監査や確認といった定型的な業務が増え、ますますルーティンワークの比重が高くなるかもしれません。

だいせん
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 経理職では、日々の業務においてルーティンワークが多いことがデメリットとなります。仕訳入力や経費精算、給与計算、月次決算など、定型化された作業が多く、変化が少ないため、やりがいを見つけるのが難しい面があります。さらに、自動化の進展により、単調な業務が増える可能性もあるため、モチベーションの維持や自己成長のためには、自ら新しいスキルを習得し、業務の効率化や改善に積極的に取り組むことが必要です。

デメリット3:ミスが許されない

 経理職のデメリットとして「ミスが許されない」という点が挙げられます。経理業務は企業の財務や会計を正確に管理する役割を担っており、ミスが生じると企業全体に多大な影響を及ぼす可能性があるため、特に重要視されます。具体的にどのような状況でミスが許されないのか、またその影響について説明します。

決算業務におけるミス

 経理の中でも最も責任が重い業務の一つが決算業務です。月次決算、四半期決算、年次決算など、企業の財務状況を報告するための資料を作成する際にミスが発生すると、さまざまな問題が起こります。

財務諸表の誤り

 貸借対照表や損益計算書における数字のミスは、企業の実際の財務状況を正確に反映できなくなり、経営陣や株主、投資家に誤解を与えるリスクがあります。特に上場企業の場合、このようなミスは市場での信用を失い、株価に悪影響を与える可能性があります。

監査における問題

 外部監査を受ける際に決算書にミスがあると、監査法人から指摘を受け、修正を求められます。修正作業には時間がかかり、決算発表の遅延や追加コストが発生することもあります。また、監査法人からの信頼を失うと、今後の監査にも影響が出る可能性があります。

税務処理でのミス

 経理業務には、企業の税務処理も含まれています。法人税や消費税の計算、税務申告書の作成など、税法に従った正確な処理が求められますが、ここでミスが発生すると、企業に大きな損失をもたらす可能性があります。

税金の過大・過少申告

 税務申告でミスがあると、過大申告や過少申告につながります。過少申告の場合、税務調査が入った際に追加徴税や罰金が科せられる可能性があり、企業に金銭的な負担が発生します。また、税金を多く払いすぎてしまった場合、申告の修正手続きが必要となり、時間と労力がかかります。

税務調査のリスク

 税務申告に不備があると、税務署による調査が入るリスクが高まります。税務調査は企業の経理体制や申告内容を厳しくチェックするもので、もし意図的なミスが発見された場合、さらに厳しい罰則が科せられる可能性があります。企業の信頼に傷がつくこともあるため、非常に大きな責任が伴います。

現金管理におけるミス

企業によっては経理が現金管理を行うこともあります。現金の出納管理や銀行口座の入出金を担当する場合、ミスが発生すると深刻な問題につながります。

不正や紛失のリスク

 現金や振込の処理でミスがあると、金銭の不正使用や紛失のリスクが高まります。特に多額の現金や資金を扱う際は、厳密な管理が求められ、ミスを防ぐための監視やダブルチェック体制が必要です。

支払い遅延のリスク

 取引先への支払いミスや遅延が発生すると、企業間の信用問題につながります。取引先との関係が悪化し、今後の取引に影響を与える可能性があるため、経理業務ではこうしたミスを防ぐために細心の注意を払う必要があります。

システムやデータの入力ミス

 経理業務は多くのデータを扱うため、システムやソフトウェアへのデータ入力ミスが発生すると、後々の業務全体に大きな影響を及ぼします。以下のような場面でミスが致命的になることがあります。

取引データの入力ミス

 取引の内容や金額をシステムに入力する際にミスがあると、損益計算や在庫管理に誤差が生じるため、ビジネスの判断に悪影響を与えることがあります。正確なデータ管理が非常に重要です。

システムエラーによるトラブル

経 理システムの設定ミスや操作ミスにより、データが正しく保存されなかったり、計算結果に誤差が生じることもあります。こうしたエラーが決算や給与計算に影響を与えると、修正に多くの時間とコストがかかります。

内部統制の不備

 経理業務には、社内の内部統制を強化する役割も求められます。内部統制は、ミスや不正を防止し、企業の財務データの正確性を確保するための仕組みですが、経理担当者がこの管理を怠ると、重大な影響を引き起こします。

不正の発生

 経理における内部統制が不十分だと、社内での不正行為が発生しやすくなります。例えば、二重請求や架空取引を見過ごすことで、企業の財務に重大なダメージを与えることがあります。

外部からの信用喪失

 内部統制の不備が原因で重大なミスや不正が発覚すると、取引先や投資家からの信用を失う可能性があります。これは特に上場企業において致命的であり、株価の下落や市場での信頼低下に直結します。

だいせn
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 経理職では、日常的に正確な数字を扱うため、一つのミスが企業に多大な影響を与える可能性があります。決算書や税務処理、現金管理など、どの業務もミスが許されない厳しい環境です。ミスを防ぐためには、徹底した確認作業やダブルチェック体制、内部統制の強化が必要であり、責任感と集中力が求められます。このプレッシャーが、経理職における大きなデメリットといえるでしょう。

まとめ

  • 繁忙期の忙しさ
  • ルーティンワークが多い
  • ミスが許されない

 いかがでしたでしょうか?経理職は非常に安定している仕事でありますが、繁忙期の忙しさやルーチンワークの多さなどの経理職特有のデメリットがあります。しかしながら資格取得や法令対応を通じて常にスキルや知識をアップグレードすることができ、転職市場においても常に価値を示すことができます。

経理職のメリットについては下記の記事を参考にしてください。

 未経験者が経理職を目指す際には、自身の性格や働き方の希望に合わせて、このメリット・デメリットを理解しておくことが大切です。経理職に興味がある方は、まず基本的な簿記や会計の資格取得を目指しましょう。この記事が少しでも皆さんのキャリア選択に役立てば幸いです。

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